生活保護受給者を入居可能にすべきか?
所有しているアパートの築年数が古くなり
なかなか入居者が決まらず空室が続いている状態になってしまった際
家賃を下げたからといってすぐに入居者が決まるとは限らず
半年、1年と入居者が決まらない物件は多くあります。
なぜ、入居者が決まらないのかというと
①建物が古すぎて印象が悪い
②浴室はバランス釜、キッチンは瞬間湯沸かし器など設備が古い
③部屋が和室
④トイレが和式
⑤駅から遠いなど立地が悪い
等々の理由でどれだけ家賃を下げてもなかなか入居者が決まらない物件が案外多いのです。
建物が古いことが理由で入居者が決まらないのであれば
新しくすればよい!それはそうなのですが
古い建物を綺麗にするにはお金がかかります。
外観を綺麗にするとなれば足場を組んで外壁の塗り替えをしなくてはならないので
少なくとも50万円以上のお金がかかることでしょう。
室内の設備を新しくするとなっても水回りの交換となれば浴室、キッチン、トイレ
この三か所をおこなうとなれば50万円では足りないケースが殆どです。
和室を洋室に変えるリフォームをおこなうにしても広さにもよりますが
20万円前後はかかってきます。
とにかく古い物を新しくするには相当なお金をかけないと新しくすることはできません。
ただでさえ、空室期間が長く家賃収入が減っている状態であまりお金はかけたくないと考えるのが
大家さんの本音ではないでしょうか。
では、建物にお金をかけずに空室をできるだけ減らす為の手段として
生活保護受給者を受け入れるという方法があります。
これは誤解がないようにお伝えしておきますが
生活保護受給者であれば古い建物でも古い設備でもなんでもいいという訳ではありません。
安全性のある建物で設備の故障はなく生活する上で必要な状態に整えた物件でないと
貸すことはできません。
そこは、一般の方へ貸すのと同じです。
ただ、何が違うのかと言うと
世の中には生活保護受給者入居可能な物件がまだまだ少ないということです。
生活保護受給者は増えているのに生活保護受給者入居可能な物件はそこまで増えていないのが現状です。
ということは、多少古い物件でも生活保護受給者OKの物件にすれば決まりやすくなります。
ただ、生活保護受給者の受け入れをOKにしてリスクはないのか?とご心配されるかと思いますが
やはり多少のリスクはあります。
和室の物件を好まれるのは高齢者が多いので孤独死のリスクがあります。
とは言え、お亡くなりになられてから何日間も発見が遅れることは稀で
事前にご近所の方に声をかけておくだけで周りの方々が気にかけて下さることも多く
部屋への出入りが減っていればご近所の方が不動産会社や大家さんへ連絡をしてきてくださることもあります。
介護サービスを受けていればヘルパーさんが定期的に訪問するので
そこで変化に気づくこともあります。
公共料金の支払いが遅れてそこで変化に気づくこともあり
勿論、発見が遅れてしまうケースもまったくない訳ではありませんが
生活保護受給者だから孤独死が心配という訳ではなく
孤独死のリスクは一般の方に貸した場合とそこまで大きく差がある訳ではないのです。
次に若い方でリスクがあるとしたらどんなリスクがあるかというお話です。
若い方で生活保護を受給されている方はお仕事ができない方になります。
お仕事ができない理由として一番多いのが病気です。
身体が健康でも失業してしまい働く場所がなく生活保護を受給されている方も中にはいますが
そのような方で生活保護を受給されている方はかなり少ないです。
よって殆どの方がなんらかの病気を患っていることになります。
そして最も多いのが精神疾患です。
大家さんの中には
「生活保護受給者も受け入れるが高齢者と精神疾患の方はNG」とおっしゃる方がいるのですが
正直そのような条件を付けてしまったら生活保護の受け入れは実質NGということになってしまいます。
精神疾患の方はヘルパーなどの力を借りて一人暮らしをされる方もいらっしゃいますし
ケースワーカーやソーシャルワーカーがご本人へ定期的に連絡してくださることもあります。
特に通院をしている場合は病状が悪化すれば入院を勧めて下さるので
よほどのことがなければ入居中にトラブルが起きることは少ないです。
とは言えまったくトラブルが起きないということではないので
高齢者同様に気にかけておくことは必要になります。
ただ、入居中のトラブルは一般の方でも起きることはありますし
生活保護受給者の方だから多いという訳ではありません。
家賃は行政から直接大家さんへ毎月振り込まれる方法を選ぶこともできますし
行政としては生活保護の方のお引越しはできる限り一回で終わらせてもらう方針なので
一度借りると入居期間は長くなります。
入れ替わり立ち代わり入居者が変わるということが少ないので
そういった意味では生活保護受給者OKにすると空室になるリスクは減らせます。
当社には多くの生活保護受給者の方がお部屋探しにいらっしゃいます。
福祉課からのご紹介であったりケースワーカーからのご紹介であったり
お知り合いの方からのご紹介も多いです。
必ずご本人にお会いしてお部屋のご案内をしているので
殆どの方がトラブルなく生活していらっしゃいます。
空室が続いてお困りの大家さんは生活保護受給者を受け入れることを視野に入れていただくことで
空室問題が解決できることもございますのでご検討されるのもよいかと思います。
生活保護受給者を入居可能にすべきか?というお話です。si